世界のティータイム文化

茶道のお茶会文化に限らず、世界には様々なティータイム文化が存在します。
皆さんは「FIKA」と呼ばれるスウェーデンの文化をご存じでしょうか。
FIKA(フィーカ)とは一日2回ほど行われるお茶休憩のことで、一般的には同僚や上司と雑談交じりに行うお茶時間を指しますが、家族や友人、または一人で過ごすお茶時間もFIKAと呼ぶそうです。
スウェーデン人は一日の中でこの時間をとても大切にしており、FIKAの時間になると皆一斉に仕事の手を止め食堂に集まり、コーヒーやシナモンロールを片手に同僚とのコミュニケーションを楽しみます。
FIKAの時間によく飲まれているのはコーヒーや紅茶、ハーブティーなどさまざまで、日本の緑茶を飲むこともあるそうです。
またFIKAの時間でなにより大切にされていることは「会話」です。
FIKAには必ず会話があります。
普段あまり話すことのない同僚や仲間ともFIKAを通じてコミュニケーションをとることができ、仕事を円滑に進めるうえでも重要な時間となっています。
職場だけでなく、家族や友人と公園でFIKAをすることもあり、会話や団らんを楽しみます。
FIKAとは単なる休憩ではなく、人と人をつなぐかけがえのない時間なのです。

また他に有名なティータイム文化と言えばイギリスのアフタヌーンティーがありますよね。
今日では日本でも気軽に楽しめる文化となったアフタヌーンティーですが、こちらも19世紀頃女性たちの社会的な結びつきを築く場として発展してきたそうです。
当時の社会では女性たちの社交活動には多くの制約があり、アフタヌーンティーは女性にとっておしゃべりや交流を楽しめる貴重な場となっていました。

これらのティータイム文化に共通する、交流を楽しむという部分は日本でのお茶会にも通ずるところがあります。
お茶会では上述のようなおしゃべりを楽しむ、ということはありませんが、様々な方と一堂に会し同じ空間でお茶を楽しむということは私たちに心の一体感をもたらしてくれます。
また、お茶会では煎茶道を通じなければ知り合うことができなかったであろう方とも交流をすることができ、様々な年代の人々を引き付ける煎茶道の魅力と、それがもたらしてくれるご縁に驚かされます。

「ティータイム」は行われる形式や国、時代が全く違うものだとしても、人と人とを結びつけるという役割は世界で共通なのかもしれません。
