お茶は世界共通のコミュニケーションツール
お客様を家にお招きしたとき、お茶を淹れてもてなしますよね。
お茶は私たちが手軽に楽しめる美味しい飲み物で、心に安らぎを与えてくれます。
このような利点があることから、お茶は人と人との交流の場におけるコミュニケーションツールとして重要な役割を担っています。
このお茶が持つ利点は世界共通です。
紅茶の国イギリスでは、人を招いた時はもちろん、朝目覚めた時や、会話を楽しみたい時、気持ちを切り替えたい時など、何か物事の区切りのときに紅茶を飲みます。
イギリスの人々にとって紅茶は特別な時もそうでない時も、人に寄り添って人を癒してくれる、なくてはならないものです。
そして彼らにとってお茶を楽しむということは、お茶そのものの味や香りを楽しむという意味もありますが、最も大きな意味は、お茶を飲んでいるその時間、お茶を飲みながらする会話、交流を楽しむことです。
紅茶を楽しむためのお菓子やティーカップにも注目され、紅茶は人々の交流する場には欠かすことのできない重要なコミュニケーションツールとなりました。
日本にお茶を伝えた国、中国ではどのような様子なのでしょうか。
中国ではお茶は茶館(茶芸館)と呼ばれる場所で飲まれています。
茶館とは日本の喫茶店のような場所で、安価なお茶を自由で気軽な雰囲気の中で味わうことができます。
茶館の特徴は、喫茶店と違ってお茶以外の飲み物はあまり無いということです。
中国茶は急須を用いて茶葉に湯を入れて飲むので、茶葉の色や香り、湯の音、味など、五感を使って楽しみながら飲まれています。
この点は煎茶道にも共通していますね。
そんな茶館は数多くの中国茶とナッツやドライフルーツなどのお菓子を楽しみながら、人々の交流や娯楽の場として街のいたるところにあります。
中国ではお茶の時間は茶器や菓子よりもお茶そのものの味や香りを楽しむという特徴もあります。
このように中国でも人と人がコミュニケーションを取るとき、お茶の存在がとても大きなものとなっているのです。
以上、コミュニケーションツールとしてのお茶の様子を見てきました。
日本の煎茶道のお稽古では、紅茶や中国茶と違い、お点前の順番や客の作法などの美しい振る舞いから身につけます。
これは茶席で主客共にスムーズなコミュニケーションを取るための基本となる稽古なのです。
そして一連の流れの中で茶席の設えから亭主の想い、文房飾りなどを話題に一期一会のひと時の交流をします。
国は違っても“お茶の時間”は人々にとって欠かすことが出来ません。
コロナ禍でオンラインの交流が増え、今までのようにひざを突き合わせてゆっくりとお茶を楽しむことはまだ難しいかもしれませんが、お茶の時間がもたらす心の交流はこれからも大切にしたいものですね。