除夜の鐘で心清らかに新年を迎える
大晦日の夜、ゴーンと響く除夜の鐘の音がきこえると新年を直前にソワソワしますよね。
今年はコロナ禍なので初詣もよく考えて、三密を避けなければなりませんが、せめて遠くからでも鐘の音を聞いて心を鎮めたいものです。
ところで、除夜の鐘とは何を意味するのでしょうか?
除夜の鐘とは
「大晦日のちょうど日付が変わり新しい年になる深夜0時を挟んでつくお寺にある鐘のこと」ですよね。
一般的には108回目の最後の鐘は「新年も煩悩に惑わされませんように」と年が明けてからつきます。
では、なぜ「除夜」というのか?
大晦日は1年の最後の日なので古きものを捨て新しいものに移るという意味で「除日」と言われています。その除日の夜につく鐘なので「除夜の鐘」と呼ばれています。
ちなみに晦日とは三十日(みそか)で各月の最終日ということです。一年の最終日だから大晦日と呼ばれます。
なぜ、108回つくのか?
108回の説は3つあるのでそれぞれ紹介します。
1. 人間の煩悩の数説
煩悩の数が108といわれ、鐘をつくたび、一つずつ煩悩を祓うというもので、最も有力な説です。
知らず知らずのうちに身についている怒りや苦しみ・妬み、ひがみ、欲望などを取り去り、新しい気持ちで新年を迎えるというものです。
数珠の主玉の数も本来は108個、茶という字も108を表わし、いずれも煩悩を祓うという意味があります。
2. 一年を表す数字説
1年=十二ヶ月
1年=二十四節気(12カ月を細かく分けたもの)
1年=七十二候(24節気を更に3つに分けたもの)
これらすべてを足すと108になり、除夜の鐘は1年を表わし日々の無事を祈るという説。
3. 四苦八苦を表す説
「四つの苦しみ」とは、
〇生苦(しょうく)=生きる苦しみ
〇老苦(ろうく)=老いの苦しみ
〇病苦(びょうく)=病の苦しみ
〇死苦(しく)=死の苦しみ の四つを表わします。
次に「八つの苦しみ」とは、
〇愛別離苦(あいべつりく)=愛する人や物と別れる苦しみ
〇怨憎会苦(おんぞうえく)=会いたくない人や物に会わねばならぬ苦しみ
〇求不得苦(ぐふとっく)=求めるものが得られぬ苦しみ
〇五陰盛苦(ごおんじょうく)=「五陰」は肉体のこと。肉体あるがゆえの苦しみ。前の七つを総括したもの
このように四苦八苦は仏教用語で「避けることのできない苦しみ」という意味があり、
四苦(4×9)+八苦(8×9)=108となり
四苦八苦を取り払うために除夜の鐘をつくという説もあります。
これまで3つの説を紹介しましたがどの説にも共通することは
「今年の苦しみや煩悩を取り去り、清らかな気持ちで新年を迎えよう」
という意味があるのです。
今年は新型コロナに大型台風、猛暑に大雪と災厄の年でしたが、除夜の鐘とともにすべてを祓い、気持ちをリセットして新年を迎えたいですね。