旨みのお茶玉露
そろそろ八十八夜で新茶の時季ですね。
煎茶は緑茶の中でもっともよく飲まれている代表的なお茶ですが、日本茶には煎茶以外にもいくつかの種類があります。
今回はその中から最も手間暇かけて作られる玉露についてご紹介いたします。
玉露の栽培方法
玉露は数ある日本茶の中でも高級品とされ、コクのある旨みが特徴です。そんな玉露を作るためにはたいへんな手間がかかっています。
通常の煎茶は、茶園で摘採した生葉を新鮮な状態で熱処理(蒸す、炒る)することで、酸化酵素の働きを止めた「不発酵茶」です。玉露の加工過程は煎茶と同じですが、栽培方法が特別です。
新芽が2~3枚開き始めた頃、その芽にあたる日光をヨシズやワラで遮るのです。
最近は、寒冷紗などの化学繊維で覆うことも多くなっています。
この栽培方法は被覆栽培と呼ばれ、光を制限して新しい芽を育てることでアミノ酸が多く残り、旨みが豊富な味になります。
また、被覆栽培をして作られる緑茶に「かぶせ茶(冠茶)」があります。
かぶせ茶は摘採前の1週間~10日程度が被覆期間ですが、玉露は20日程度という期間に差があります。
玉露の香り
玉露は口に含むと独特な香りが鼻に抜けます。この香りは「覆い香」と呼ばれ、青のりのような香りと表現されることもあります。
被覆栽培がもたらす影響は香りにも及んでいるのです。
玉露の美味しい淹れ方
玉露は低温のお湯でじっくりと淹れましょう。
40~50℃程度のお湯を使うことで旨み成分のアミノ酸が十分に抽出される一方、苦味・渋味をもたらすカテキンやカフェインはあまり抽出されません。
そして、玉露にはカフェインが多く含まれています。
カフェインは利尿作用や覚醒作用がありますが、アミノ酸の中でも特に割合の高い成分であるテアニンはその働きを緩やかにするという効果があるとされているため作用が出にくいのです。
煎茶の中でも旨みのある玉露は味わい深く、慌ただしく過ごす日々に癒しを与えてくれます。
ぜひ皆さんも一度お試しされてみてはいかがでしょうか。