ししおどしとは?日本庭園に奏でる心地よいリズムについて
日本庭園でよく見かける「ししおどし」。夏になればTVなどで涼を感じさせるもの としてよく目に留まります。
(京都詩仙堂・日本で最初の鹿威し)
この「ししおどし」なるもの、一体どんな意味があるのでしょうか。
「獅子脅し」や「獅子威し」とも書かれますが、本来は「鹿威し」なのだそうです。
農業などで鳥獣を威嚇するための装置の総称で、案山子や木の板に竹の管や木片を付けて音が出るようにした鳴子もその一つです。
では、私たちが普段「ししおどし」と聞いて連想するものは、「添水 そうず」というもので、水力により自動で音響を発生する装置のことです。
(添水)
竹筒に水がいっぱいになると、重みで一気に竹筒が頭を下げ、石をたたく音がなんとも風流に「コーン」と鳴り響きます。
「ししおどし」は日本庭園の装飾とされる用途が一般的で、京都の一乗寺にある詩仙堂のものが有名です。
詩仙堂は、徳川家康の家臣で煎茶を嗜んだ文人、石川丈山が隠棲の地として建てた山荘で、山の麓にあったため、夜中にシカやイノシシが出没し、追い払うために「ししおどし」を設置したようです。
(詩仙堂・中には狩野探幽らの描かれた中国の三十六詩仙の肖像がある)
その何とも風流な音は、人を不快にさせるものではなく、むしろ心地よささえ感じるため徐々に風流を楽しむものとして普及していったというわけです。
隠居の身であった石川丈山も、このししおどしの音に癒されたのではないでしょうか。
煎茶道の点前でも建水に水をこぼす音からイマジネーションを膨らませます。一煎の茶を愉しむのに、場所には拘らないでも、自分の気持ち次第でどこにでも心馳せることが出来るということを学びます。